2026/05/01
お寺の剪定最終日。今日は雨。寺に併設されているお墓の中にある4本の椿を手入れしたらおしまいなので、雨脚の弱まった10時頃に現場へ向かう。
お寺に到着したらまず駐車場を解放することになっている。駐車場が見えて来たタイミングで軍手をはめてシートベルトを外し、トラックから飛び降りる。私はこの一連の流れが出動!という感じがして好きだ。業者が停めるところと檀家さんが停めるためのスペースがあって、地面から突き出している鉄製のポールの間のチェーンを外す。ポールの中にチェーンが収納できる。じゃらじゃらと音を立てながら暗い穴の中へとチェーンが吸い込まれていく。いつも二度と取れなくなるんじゃないかと不安になるが、ちゃんとチェーンの先端の部分が引っかかって止まるようになっている。ポールを少し浮かせて回すと地面に収納できるようになっているので、何本か下げていって檀家さんや参拝客用のスペースを空けていく。このポールは壊すと高いらしいんだが、いつも全然上手に取り扱えず、「高額」という字が頭をかすめる。
駐車後荷物を降ろしていく。これもなんてことないんだが、私ははしごを持って歩くのが好き。四脚を肩にかけるのも、三脚の鋭角な先端を前に向けて横たえた状態で持っていくのもなんとなく面白くて好きなんだ。あとイケてる気もする。フランスパンを持って歩く人と同じぐらいかっこいいと思う。
墓場についたら、参拝客用に水の入った桶を用意する。剪定以外にも一部お寺の業務もお手伝いしている。桶に水を注いで柄杓とセットにして置いておく。準備中に親方からどの椿を選定するのか見に行くと言われたのでついていく。うっかり柄杓を持ったままついて行ってしまう。「どういうボケだよ」「後ろからそれで殴るんじゃねえぞ」と親方。柄杓にはそういう使い方もありますね。
4本中2本の椿は誰かのお墓のすぐ横にあって、かなり気を遣って剪定。「失礼します!」と元気よく声をかけてから作業。罰当たりな行為を愛嬌でごまかそうという魂胆さ。
墓場の椿は境内の椿ほどきちんと手入れがされていないようで、太くゴワゴワした枝が多い。何も指示されていないので、硬く太くなってしまった枝を抜いていき、若い枝に更新することにした。私は清廉な様子の木が好きです。何より太い枝がたくさんあって木の中のほうが混んでいると虫が湧きやすい。枝を払っていると早速葉の裏にナメクジがいた。学校に通い始めて土木や造園作業を始めた頃から、なんとなく虫に対する抵抗が前より減った気がする。なんか軍手越しだと案外平気なんだよな。親近感すら感じる。小さい生き物たちよ。作業中もなるべく殺したくないので逃がしている。会社の近くにはよくカメムシが出るんだが、この虫を救うのはなかなか難しい。なんだか脚が弱いのだ!移動させようとしてもすぐにひっくり返る。
作業をしていたら親方がぶらぶらやってきたのでおしゃべり。親方はおしゃべりなんだ。ナメクジって害虫ですか?と聞くとうーん……まあ必要な存在だとは思うんだけど、嫌われてはいるね。とのこと。親方も多分虫に少しの親近感を感じているのだろう。
昼休みには車の中でお昼ご飯。親方と「おばけを見たことがあるか?」という話で盛り上がる。私は直接見たことがないし、夢かもしれないんだけど、一人暮らしをしているときに夜部屋で寝ていたら、耳元で何かをボソボソ言う声が聞こえたことがある。それがあまりにもうるさいし何をいっているのかわからなかったので、「うるさいなあ!喋るならちゃんと喋って!!」とブチギレたところ声が止んだという経験がある。親方はよく背後霊がいますねと言われるらしい。もう一人後からやってきた先輩に聞いてみると「見たことないんですよ!見たいんですよ~!!」とかなり明るく言っていたので笑ってしまう。そういう人のところにおばけってこなさそう。
作業がだいたい終わった15時頃に雨が止む。いつも終わった頃に止むんだよな。落ちた葉の掃除をして道具を片付ける。雨上がりに境内の蓮の葉の上にとどまった水滴がきれいだった。たまにこういうご褒美がある。
