椿の芽を止める、亀を見る

2026/04/28

最近はずっとお寺で椿の剪定をしている。植木屋さんで働く場合、ハサミを握って木を切らせてもらえるのは早くて1年ほど経ってかららしいんだけど、うちの会社では初月からバンバン切らせてもらえている。切っていいんですか?!と聞くといいから切れ!!といった様子。生きている木に直接触れられて嬉しいよ。心が暖かい。綾波状態。胸の内が柔らかくほぐれて踊ってる。

まずは地上から木の様子を全体的に眺める。なんとなくのイメージを持てたら脚立を立ててはそこに登り、頂点から木を見下ろす。基準となる枝を決めて、頂芽を摘む。今回の目的は花芽を増やすこと。頂芽を摘むと新たな新芽が生えてきて、そこに蕾がつくだろうという目論見。植木屋ではあまり「切る」という表現を使わず、止める、透かす、抜くといった言葉を使う。今回は止める作業。

仕事を始めたばかりなので、もちろん不安だ。枝は切られたら戻らない。でも私がハサミを入れたところでこの木の美しさが損なわれるわけがない。胸を借りて残す枝を選んでいく。

昨年以前に生えた椿の葉は深緑色で分厚い。鞣した革のような質感。今年の新芽は明るい緑だ。薄く柔らかでよく風をはらむ。濡れたような艶があり、そよぐたびに光をあちこちに投げかけている。すこし刃が触れるだけでぽとりと落ちてしまう。

新芽を切りそろえ、風通しを良くするために太い枝を多少抜く。しおれた花や種となる実、胴吹きと呼ばれる幹から生えている小さな芽を、見つけ次第手でもいでいく。作業をしている近くには池があり、鯉の跳ねる音が聞こえる。池は柵がなく、なだらかな傾斜で地面とつながっていて、そこの坂をズリズリと這っている鯉をみた。上陸しようとしてるのか?!と不気味に思っていたら「産卵だよ」と親方。地上で共生することになるのかと不安になってしまいました。

昼休みはお寺の外の遊歩道に座ってお弁当を食べる。遊歩道にも小さな池があり、ミシシッピアカミミガメが甲羅干しをしている。亀を見ながら昼食。この亀はなんだか人気者で、よく写真を撮られている。

私も写真を撮った。撮られ慣れている。

16時頃作業を終えて片付けをする。剪定を終えた木は隙間から向こう側や空を見せてくれるようになる。庭の中の木は背景であり、主体であり、額縁でもある。風に揺れる姿を見ると爽やかないい気分になる。植物が好きだな。